2020/08/11
将来、認知症などで判断能力が衰えてしまったら・・・
もしも脳梗塞などで心身ともに衰えてしまったら・・・
老後に漠然とした不安を持つことは、誰しもが抱える悩みだとも言えます。
「終活」では、
- 将来の不安を考え
- もしもそうなった場合にどうしたいのかを具体的に想像し
- 今できることを行動に移す
もしもの時の対策を練ることで、将来への不安を小さくすることができます。
そんな、将来の万が一に備えて、判断能力のある今のうちから信頼できる第三者を後見人として選任できる制度を『任意後見契約』といいます。
後見人とは
後見人とは、判断能力が不十分と考えられる者を補佐する者。
引用元:wikipedia
今回は、任意後見制度について詳しく解説していきます。
記事のもくじ [とじる]
- 1 任意後見制度とは
- 2 任意後見契約が始まるまでの手順ー効力発生時期のタイミングとは?
- 3 任意後見人になれる人とは?
- 4 任意後見制度を利用するための費用と書類
- 5 任意後見人の主な仕事とは?
- 6 任意後見監督人の主な仕事とは?
- 7 任意後見制度について〜任意後見契約の効力発生のタイミングや仕組みや費用。後見人の仕事内容について
任意後見制度とは
「任意後見制度」とは、判断能力のある今のうちから、将来の万が一に備えるための制度です。
将来、『誰に』『どのようなサポートをしてもらうか』を決めて、公正証書によって「任意後見契約」を結びます。
任意後見契約は、公正証書を作成しただけでは始まりません。本人の判断能力が低下し、家庭裁判所がそれを認め、監督する任意後見監督人を選出した時から始まります。なぜ任意後見監督人を選出するの??
後見人が、あなたに不利益な行動を取らないよう監視するためです。
監督人は、定期的に支援の状況を家庭裁判所へ報告します。
図で表すと、このような感じです。
任意後見契約が始まるまでの手順ー効力発生時期のタイミングとは?
任意後見契約は、後見人を選んだり、公正証書を作成するだけでは始まりません。
「任意後見契約」スタートまでのステップをみていきましょう。
ステップ1:任意後見人を選ぶ
信頼できる家族や親族、知人、弁護士、税理士、行政書士、司法書士、社会福祉法人、社会福祉士、NPO団体など
ステップ2:公正証書を作成し、「任意後見契約』を結ぶ
公証役場で公正証書によって契約
ステップ3:認知症などによって、本人の判断能力の低下
ステップ4:家庭裁判所に認定を求め、任意後見監督人を選任してもらう
家庭裁判所に、本人、配偶者、4親等内の親族、もしくは任意後見受任者が選任を依頼する
このタイミングで、任意後見契約の効力が発生します。
ステップ5:任意後見契約による支援がスタート
任意後見人になれる人とは?
任意後見人になるために、特に資格は必要ありません。
基本的に成人であれば誰でも任意後見人になることができるのです。
信頼できる家族や親族、知人はもちろんのこと、弁護士、税理士、行政書士、司法書士、、社会福祉法人、社会福祉士、NPO団体などを後見人とすることも可能です。
例外的に任意後見人になれない人は
- 未成年者
- 破産者
- 本人に訴訟をした人、その配偶者および血族
- 利害関係が反対となる人
- 行方の不明な人
上記は法律で不適格と定められています。
任意後見制度を利用するための費用と書類
公正証書を作成する際にかかる費用と書類
任意後見制度は、公証人役場で公正証書を作成する必要があります。
公正証書作成するためには、以下の費用が最低限かかってきます。
公正役場の手数料 | 11,000円 |
法務局に納める印紙代 | 2,600円 |
法務局への登記嘱託料 | 1,400円 |
書留郵便料 | 約540円 |
正本謄本の作成手数料 | 1枚250円×枚数 |
参考:日本公証人連合会
最低でも、15,790円はかかるということですね!
任意後見契約を結ぶための必要な書類
本人 | 印鑑登録証明書戸籍謄本住民票 |
受任者 | 印鑑登録証明書住民票 |
契約開始後〜任意後見人、任意後見監督人に支払う報酬について
任意後見は『委任の契約』になりますので、報酬を支払うか否かは、本人の自由となります。
身内に任意後見人をお願いした場合、無報酬の場合も多いのですが、第三者(専門家)に依頼すた場合は、月額2万円〜5万円程度(財産量による)ということが多いようです。
任意後見監督人の場合は、家庭裁判所によって報酬が決定されます。
- 本人の財産の額
- 監督事務の内容
- 任意後見人の報酬額
によって、無理のない額が決定されます。
任意後見人の主な仕事とは?
では、任意後見人とはどのような支援(仕事)を行うのでしょうか?
掃除をしたり買い物へ行ってあげたりオムツを替えたりといった、介護的な役割だと間違われやすいのですが、任意後見人の仕事はあくまでも財産の管理や、介護や生活面でのバックアップです。
財産管理とは
- 年金の管理
- 預貯金、有価証券の管理
- 不動産管理
- 社会保障関係の手続き
など
介護や生活面でのバックアップとは
- 入院や介護サービスへの手続き
- 生活費の送金
- 医療費、介護費の支払い
など
任意後見監督人の主な仕事とは?
任意後見監督人の主な仕事は、任意後見人が契約内容に従って仕事をしているか監視(チェック)することです。任意後見人に事務の報告を求めたり、財産状況を確認する権限も認められています。
また上記の事柄について、定期的に家庭裁判所へ報告することも仕事の一つ。
任意後見人に不正があった場合は家庭裁判所へ解任の申し立てを行ったり、後見人が仕事をできなくなった場合には代理になることもあります。
任意後見制度について〜任意後見契約の効力発生のタイミングや仕組みや費用。後見人の仕事内容について
「任意後見制度」とは、もしもの時のためにする契約です。
元気なうちは想像しにくい(想像したくない)ものですが、何年後かに、認知症や寝たきりになってしまう可能性がないとは言い切れませんよね。
老いじたくというと大げさで、まるで死ぬ準備をするように捉えてしまう方もいるようですが、「終活」では「もしも」「万が一」を見つめ直し、何かしらの準備をすることで、将来への不安を小さくすることもできるのです。
今回は、「任意後見制度」について解説をしました。
こういった制度についての手続きは、難しかったり面倒だったりしますが、この記事が参考になれば嬉しく思います。
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