2020/08/11
「死んだらお墓に入るもの」という選択肢が見直され、
「お墓はいらない、作らない」
そんな選択肢をする人が、最近では増えてきています。
その背景には、少子化問題や管理費維持費の負担の大きさ、ライフスタイルの多様化など、現代ならではの問題が隠れています。
「お墓はいらない!」という選択肢をした場合、どのような供養をするのかなど疑問がいくつか出てくるかと思います。
今回は
- お墓を建てる意味や目的
- 「お墓がいらない」現代の問題について
- お墓を建てない場合の供養の方法
- お墓を持つことのメリット・デメリット
について、解説していきます。
記事のもくじ [とじる]
- 1 お墓を建てる意味と目的
- 2 「お墓はいらない」現代の問題について
- 3 お墓を建てない場合の供養の方法
- 4 お墓を持たないことのメリット・デメリット
- 5 まとめ:お墓はいらないという選択〜供養の方法や納骨方法について解説!
お墓を建てる意味と目的
「死んだらお墓に入るもの」
という考えを持っている人は多いと思いますが、お墓を建てることの意味や目的について考えたことはありますか?
お墓は、亡くなった方を供養するためのものです。
特に日本では、墓地や霊園、お寺にお墓を建てることが一般的とされてきました。
しかし世界に目を向けてみると、そういった供養の方法ではない国も沢山あります。
そう考えると、お墓を建てることの意味や目的について疑問を感じてしまう人もいるでしょう。
お墓は遺骨を納め、その目印となるものです。そして何より、残された遺族の心の拠り所となります。
お墓参りをした時、お墓をきれいに掃除した後で、心がスッキリしたという経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
「この場所に、おじいちゃん・おばあちゃんが眠っている。ご先祖様がいる」そう思わせてくれることが、お墓の意味とも言えますね。
「お墓はいらない」現代の問題について
日本は元々、祖先を大切にする国であり、一族は皆、同じ土地で過ごしてきました。だからこそ、土地に根ざすお墓は血縁の象徴とされてきたのです。
しかし現代では、地元を離れ、親元を離れる子が増えています。少子高齢化ということもあり、お墓の存在意義は年々薄くなっています。
ライフスタイルの変化により、時代にマッチしなくなってきた。というのが大きな理由ですね。
さらに最近は、無宗教の人も増えてきました。
「お墓はいらない」「お墓は必要ない」と感じてしまう要因の一つとして地域のお寺離れが挙げられますが、こちらも時代の流れを考えると自然な流れなのかもしれません。
お墓を建てない場合の供養の方法
では、お墓を建てないと選択した場合、どのような供養の方法があるのでしょうか?
樹木葬
墓石の代わりに樹木をシンボルとしたお墓のこと。
最近では「樹木葬」を希望する人が多くなり、人気の供養方法です。樹木葬と聞くと
「樹木か〜。じゃあ、あそこの公園の桜の樹の下に・・・・」
と言いたくなりますが(なりませんか?笑)、許可を得ている霊園や墓地などに埋葬しなければいけません。
費用も安くすみ、永代供養もしてもらえることから、樹木葬を検討する人が増えています。
「自然に還る」という考え方も、受け入れやすく人気の理由だと思います。
納骨堂(永代供養)
霊園やお寺が管理し、家族の代わりに供養してくれる『納骨堂』も人気の供養方法です。
- 墓石によるお墓はいらない
- だけど、手を合わせたい
- 遠方にいたり、忙しくて管理ができないから、代わりに管理・供養してほしい
そんな人に向いているのではないかと思います。納骨堂には様々なタイプがあり
- ロッカーのような場所に遺骨を納め管理
- 仏壇やお墓の形をしている
- 他の方の遺骨と一緒に納骨
- 一定期間は個別に納骨。期間を過ぎたら合祀墓に入る
などがあります。合祀墓とは・・・不特定多数の方の遺骨を、ひとつにまとめて納骨するお墓のこと新しいお墓のカタチ〜納骨堂とは:メリット・デメリットについて
自然葬(散骨)
亡くなった方の遺骨を粉末状にして、海や山、空に向かって巻くことを「散骨」と言います。
散骨は「自然に還る」という意味合いから人気があり、後に何も残さなくて良いという点も人気のポイントです。
墓石はもちろん、管理も必要ないので、遺族にとっては金銭的な負担や、体力的な負担がないのもメリットの一つと言えるでしょう。
散骨といっても、撒くことができる場所は限られているので注意が必要です!
散骨は、認められている場所でのみ行うことができます。
手元供養
手元供養とは、手元に置いておく、つまり自宅で供養する方法のことです。
遺骨は骨壷に納め、仏壇と一緒に安置する方法が一般的です。
手元供養は、費用がかからず、お墓まで出向く必要がないので最近では人気の供養方法です。しかし、自宅に遺骨を安置することは、法律上問題ないのでしょうか?
焼骨を自宅で保管する事は、本条に違反するものではない
引用元:墓地埋葬法ー第2章第4条
自宅に安置するのは問題ありませんが、遺骨を庭に埋めることは法律で禁止されています。
お墓を持たないことのメリット・デメリット
「お墓を持たない」「お墓は必要ない」
ということは、簡単に決められるものではありません。
ここでは、お墓を持たないことのメリットとデメリットを紹介していきます。
メリットとデメリットを把握した上で、「お墓はいらない」「やっぱりお墓は必要」と、お墓の有無について考えてみてください。
お墓を持たないことのメリット1:お墓の維持についての心配をしなくていい
現代は少子高齢化という問題を抱えています。加えて、ライフスタイルの変化により、お墓参りをする人も減っています。
自分の死後、何十年後か先に、お墓に誰も訪れてくれない、掃除などの管理もしてもらえないと思うと悲しくなりますよね。
お墓以外の供養方法があることを知ることで、遺された人達の負担にならない、維持について心配をしなくて良い供養方法を選択することができます。
お墓を持たないことのメリット2:費用を抑えられる(費用がかからない)
先ほど述べたように、お墓を建てないという選択をした場合、
- 墓石代
- 設置費
- 管理費
など莫大な費用が浮くことになります。先祖代々のお墓に遺骨を納める場合は墓石代などの費用はかかりませんが、それでも管理するためにはある程度の費用が必要になります。
作ったはいいけど、「やっぱりいらない」となった場合、墓じまいするのにも費用がかかってきます。
お墓を持たないことのメリットは、本人(故人)よりも、遺された家族にとってのメリットが大きいように感じますね。
子供達が大きくなり、遠方に移り住んでいたり一人っ子の場合など、遺された人たちへの負担をなるべく減らすことも「お墓を持たない」ことのメリットと言えるでしょう。
お墓を持たないことのデメリット1:周囲の反応
他の供養方法があるとは言っても、お墓を購入する人、死後お墓に入る人はやはり多数派になります。
他の供養方法について「何それ?!」とよく思わない人もいるでしょう。
「お墓に入りたくない」「お墓はいらない」
そう周囲に話した時、快く受け入れてもらえるかは別問題です。
「お墓はいらない」と考えて他の供養方法を選択するのであれば、周囲を説得できる知識と情報量が必要となります。
お墓を持たないことのデメリット2:先祖の繋がりを感じにくい、個別に祈る場所がなくなる
ライフスタイルの変化により、お墓参りやお寺を訪れる機会は減りつつありますが、それでもお盆やお彼岸には御墓参りに訪れたり、何かあった時にお墓に手を合わせる人もまだまだ大勢います。
お墓には先祖の名前が刻まれています(刻まれていきます)から、お墓を訪れると、人との繋がりを感じることができます。
お参りする場所がない、先祖の繋がりを感じにくいというのは、お墓を持たないことの大きなデメリットといえます。
まとめ:お墓はいらないという選択〜供養の方法や納骨方法について解説!
「お墓はいらない」
一昔前の日本であれば、信じられない選択肢だったと思います。
しかし時代の移り変わりに伴い、お墓の存在意義自体が従来のものから変わりつつあります。
お墓も時代やライフスタイルに合わせた供養方法へと変わり、様々な選択肢を持てるようになったというのは、とても素晴らしいことだと感じます。
ご家族と話し合って、納得いく供養方法を探してください
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